今回は「conte」の名前の由来に関してです。

 

「ん」の法則、というものがある、と聞いたことがあります。朝ドラの「ん」のつくタイトルの番組はヒットする、と言うものです。「○○ちゃん」と言う人名をタイトルにすれば、必ず「ん」がつくので、この話は眉唾物ですが、「ん」の言葉の響きは心に引っかかるものがあります。「みんげい」がこんなに浸透したのも、「ん」がついたからではないか、と思っています。
いずれにせよ、名前は大切。ひとがモノを探すときに、口をついて出るような名前は、成功への一歩だと思うのです。

 

刺身をつまみながら、三人はどんな名前がいいか考えました。思いつくまま、言葉を並べていきます。真剣ながらも駄洒落はいつものこと。合成語も考えます。帰り時刻が気になり始めたあたりに、りんちゃんがふと呟きました。「conteは?」と。

 

△conteが生まれた瞬間のりんちゃん のメモ

ひろ坊の工場にはたくさんのコンテナと呼ばれる、材料や商品をいれる箱が積み重なっています。ひろ坊の工場と連携している工場もみな使っています。それぞれの工場の名前がついたコンテナを、次の作業を受け持ってくれる工場に手渡していくのです。
「燕は、街が1つの工場になっている」
よく言われることです。

(column3)

 

△つっきりのプロの工場に運ばれた、ひろ坊の工場のコンテナ。

 他の産地では考えられないほどの細く分かれた専門の工場が、コンテナをバトンリレーのようにつなげて、1つの商品を作り上げていきます。そして、「con」という接頭語は、ラテン語の<with>を意味するcumから来ているので(comも同様です)、いい意味が多いことに気づきました。(ただし、「con」という単語は、「詐欺」という意味です。念のため…)
connect、conduct、constant、concern …出てくる、出てくる。combine、complete、compose…などなど。
こんな時、りんちゃんはメモを取り出し、色々、書きまくります。
conteと書いたときに、もう1行、con-teと書き添えたのでした。
ラテン語のwithのconに、日本語の手の合体にも思えるこの名前。これしかない!と盛り上がりました。そして、皆でスマホを取り出し、「conte」という言葉を検索し始めました。
ちなみに、フランス語で「conte」は、「コント」つまり、(1)気の利いた面白い小説(2)物語(*新字源より)を意味しますが、そういえば、conteチームもコントのような冗談をよく言い合います。ますます、この名前がぴったりに思えるのでした。色々調べましたが、(少なくとも、ネットでチェックできる範囲では)生活用品では他の人が使っていないことを確認して、この名前で進むことになったのでした。

 

 ところで、conteの最初のアイテムは「キッチンボウル」でした。これは、ヒノさんが、酔っ払いながら呟いた「キッチンボウル」というアイテムを、ひろ坊が拾ってくれたのですが、りんちゃんは工場を巡ることで、「なんか良いボウルが出来そう」と、ピンと来ました。最終的には良いデザインになるのですが、りんちゃんの目指すところは、単に見た目のデザインだけではないのです。作業が上品に出来(作業が上品?と思われるかもしれませんが、これは後日、ご説明します)、お行儀よく安定して、丈夫で…と、その他いろいろな要素が詰め込まれたものです。ただ、りんちゃん はピンと来たのに、工場のみなさん(conteチームは、彼らのことを“プロ”と呼んでいます)に“ピン”は降りて来なかったようで、困ったこともありました。本当に、不思議なものですが、言葉を伝えるのは難しいです。理解されるだろう、と伝えても、「思い込み」で勘違いすることもあります。灯台下暗し、と言いましょうか、「当たり前すぎて、ピンとこない」こともあるのです。水の中にダイヤモンドを落としたら、透明で見えないかのように。ある工場でりんちゃん が「この作業工程のこの部分が素敵だから、こんな箇所を利用したい」と、褒めちぎっても、プロの一人は「どこが素敵」なのか、全く理解できなかったそうです。いくつかりんちゃんの図面にしたがって試作はしてくれましたが、合点がいかないまま作ったものは、図面どおりに見えても、着地点からはかけ離れていました。何度目かの打ち合わせの際、「あぁ、そこのことだったんだ」と気づいてくれ、やっとコンテチームが求める、「一見しただけでは解らないけれど、使うと解る良さ」に近づいたのでした。

 

△こんな風に膝を突き合わせて、打ち合わせしても、伝わらない時は伝わらないんです。

 さて、「conte」はこのプロジェクト、全体の名前です。さらにここに人の名前に当たるものが必要です。最初のボウルの名前を決めるときも、コンテチームのコント合戦でした。あまりにもダイレクトではありますが「まかない」になりました。縁をまかないボウル。料理のまかないご飯を作るように気楽に使えるボウル。という意味です。「まかない」が苗字で、「ボウル」が名前でしょうか。

 せっかく氏名が出来たのだから、次は表札を作らねば、ということで、ロゴマークをお願いすることにしました。頼ったのは、ひろ坊が親交のある新潟のグラフィックデザイン事務所

「フレーム」の石川竜太さんでした。何事にもスマートな石川さんに、コンテがどんな性格なのか、癖があるのか、色々、要素を投げてみました。

 

△フレームの事務所にて、石川代表(右)と長谷川歩さん。

 石川さんは素敵なデザインをいくつも出してくれまたが、それに対する、コンテチームの答えは以下でした。

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りんちゃん

    • カラーリングがポップすぎるかな~と思います。

 

ヒノさん

    • いずれにせよ、石川さんの持って生まれた<オシャレ感>がどうしても出ちゃうなぁ(笑)。
    • やっぱり女性を意識している感じがする。
    • もう少し、どすこい、な感じが欲しい気がします。

 

ひろ坊

    • 全体としてキレイ過ぎにまとまっている印象を受けました。

 

△conteという名前ができて、しばらくして、りんちゃん が作り出したのは「まかないオヤジ」

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 なんとも、厄介なクライアントですが、直接、話し合った時に出たのは「石川さんが作ってくれたデザインは、お家の中でもいつもきれいにしているママさんのイメージだけど、conteって、もっと骨太なイメージだよね」という共通の気持ちでした。
 このわがままを石川さんは優しく受け止めてくださり、ついにconteのロゴが完成したのです。

△conteロゴ_2C

 

フレームの石川さん、長谷川さん。本当に良いデザインをありがとうございました!

打ち合わせの後、新潟の良い料理屋さんも紹介していただき、感謝感謝。美味しいお酒を飲みながらの語り合いは、良いアイデアも浮かびます。
早く、楽しく飲める日が来ますように。

 

△新潟は酒も美味しいし、つまみも抜群。色々、連れて行ってもらいました。